2014年9月4日木曜日

スペインの旅 シェリーの故郷を訪ねて その2

ついにイダルゴ社を訪問。

ここのメインとなるマンサニージャ・ラ・ヒターナは、マンサニージャのお手本となるような、
バランスが良く、さわやかな飽きの来ないお酒で、僕の家の冷蔵庫にも常備されている。

ラ・ヒターナとはジプシーの女性という意味。

このお酒のラベルに描かれている女性のことを指しているが、
実は創業者の愛人だったとかなかったとか。


中に案内されると、美しい花のアーケードが・・



それと共に、何とも言えない香りが漂ってくる。

そして、蔵の中へ・・・



話に聞いていた通り、潮風が吹き抜けていた。

天候や湿度、季節に応じて風の入れ方を調整するらしい。

僕は樽熟成している酒蔵の香りが大好きなのだが、シェリーの蔵もたまらなかった。


シェリーは熟成を独特の方法で行う。

樽から樽へと一定量の酒を抜き取って移していく間に、古酒と新酒が混ざり合い、
複雑な香味を生み出していくのだ。

ここで説明されたのは、決してクリアデラからソレラの置き場所は上から下へと
決まっているものではないということ。

一般にソレラシステムの説明はピラミッド型で上から下へとなされていることが多いのだが、
実際には、写真のように様々なタイプの樽が不秩序に積まれていて、樽の側面に書かれた
番号や記号で次に移すべき樽が判別されている。


そして、それらをコントロールしているボデガ責任者ミゲール氏


何気なくさらっとした所作でベネンシアをするところがシブい!

簡単に真似のできない年季を感じさせてくれる。



フロール(産膜性酵母)が見えるようになっている樽。

このフロールが季節によって薄くなったり厚くなったりを繰り返し、
シェリーに酵母の風味を与えていく。

このフロールに守られたものは酸化せず、フィノタイプになり、
途中でアルコール度数を高めてフロールを消されたものは
酸化熟成してアモンティリャードとなる。

また、オロロソは最初からフロールをつけないよう、アルコール度数を
高め(18%以上)にして熟成される。


これらは辛口シェリーで、パロミノという品種から造られるのだが、
その他にも甘口シェリーのペドロヒメネスやモスカテルがあり、
辛口と甘口をブレンドしたミディアムやクリームというタイプもある。

「アモンティリャードは・・・英国人の舌には辛すぎて・・・
1ガロンか時にもう少しの甘口シェリーを足す」
(Henry Vizetelly著『シェリーの真実』より)


実は、辛口シェリーが飲まれるようになったのは近代になってからの話で、
その昔は中甘口の所謂ブレンドタイプが主流だった。

英国でも1850年代以降に辛口ワインがブームになってからフィノやアモンティリャードが
消費されるようになったようだが、それ以前はミディアムのように辛口のアモンティリャードに
極甘口のペドロヒメネスをブレンドするのが一般的であったようだ。

ここ近年は、ドライ嗜好がさらに進んで世界的な流れのとなり、シェリーだけでなく、
かつて甘口が主流だったドイツのような国でも良質な辛口が生産されるようになってきた。


「オイガ! ウナ マンサニージャ ポルファボール!」
(すんません!マンサニージャくださ~い!)

このフレーズだけは何を置いても覚えておくべきだろう。


続く

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