スペインの北部、ガリシア地方は、我々がイメージする荒涼としたスペインとはだいぶ異なる。
大地はグリーンに覆われ、比較的雨も多い。
スペイン北部の広域を指してグリーン スペインとも言われる所以だ。
イメージと異なるのは気候だけではない。
ちょっと意外に感じるかもしれないが、ケルト文化圏なのだ。
街角で演奏しているミュージシャンもバグパイプを吹いていたりして、
アイルランドに少し似た雰囲気を感じる。
もう一つは、この地にキリスト教の3大聖地の一つがあることだ。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ
ここは、巡礼の路「エル・カミーノ」の終着地。
ここの大聖堂には聖ヤコブが眠っている。
多くの巡礼者たちが世界中から訪れ、フランスのバスク地方あたりから出発し、
ピレネーを越えてこの地を目指すのだが、徒歩か自転車だけが正式な巡礼者として
認められるようだ。
ガリシアは食材も豊富で、海岸沿いでは海の幸が有名だ。
西側の海岸線は、複雑な入り江が多く、リアス式海岸の名前の由来となっている。
また、この地のワインも有名で、リアス・バイシャスやリベイロは秀逸で特徴的な白を産する。
シードラ(リンゴの発泡酒)なども造られており、まさにケルティック。
さて、今回のテーマの一つ、ガリシアのビール「エストレージャ・ガリシア」
そのメーカーであるイホス・デ・リベラ社はラ・コルーニャという町にある。
あの無敵艦隊が出港したスペイン有数の港町だ。
泊まっているホテルに迎えに来てくれるというので待っていると、
キュートで笑顔が素敵な女性が現われた。
すかさず、僕は彼女の頬にキスをして挨拶し、車に乗せてもらう。
街中を解説してもらいながら醸造所に到着。
説明を受けながら、一通り見学させてもらった。
他のスペインビールとの大きな違いは、水と醸造後の熟成期間とのこと。
他社は醸造後、平均的に5日程度熟成をさせるのに対し、エストレージャ・ガリシアは
約20日間の熟成をするため、ボディーにコクと厚みが出るようだ。
てっきり、醸造所の中で試飲させてもらえるのかと思ったら、それはなさそうな雰囲気。
一瞬がっかりしたが、そういうことではなく、これから直営のセルベセリア
(ビール主体のバル)に連れて行ってくれるようだ。
味気ない試飲より、そちらの方が楽しみ!
ポロシャツなどのお土産をもらって、また車に乗せてもらい市街地へ。
その店は中心部より少しはずれた場所にあり、思っていたより大きな店だ。
ゆったりした店内では、平日の昼間にもかかわらず、そこそこの賑わいを見せていた。
元はこの建物自体がブリュワリーだったとのことで、
奥にはビール製造用の大窯が当時のまま置かれている。
カウンターにはサルガデロスの陶器で作られたサーバーが鎮座し、
存在感を放っていた。
彼女がビールとフードを注文してくれる。
「ここでは数を言うだけでいいのよ!」
確かに周りの客は注文する時に数しか言っていない。
何も言わなければエストレージャ・ガリシアが出てくるのだ。
少し小さめのグラスで出てきたビールは抜群に美味い!
そうこうしているうちに、小イカのフリートスが出てきた。
これがまたハンパなく美味しい!
「こんなに美味い小イカ食べたことないよ!」と彼女に言うと、
「そうよ、私達がベストよ!」と嬉しそうに答えた。
談笑しながらビールを2杯ほど飲んだところで、彼女は「そろそろ仕事に戻るから・・」と、
そこまでの会計を済ませてくれた。
丁重にお礼を伝えながら、ハグをして別れ、そこからまた、おかわり、おかわり!
こんな店が近くにあれば・・・と心から思った。
続く
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